映画分析

前期は、特に実写映画の「編集」効果について研究を行いました。まず各グループで対象となる作品とシークエンスを選定し、そのシーン全体のなかで、編集がどんな効果を持っているかを話し合う。そしてさらにその効果が、シーン内の空間設定/各カットのコンポジション/人物導線/観客の視線誘導/カッティングと長さ、それぞれどの要素によって引き出されているのか。実際に画面を模写し、1カット1カットカメラの動きと長さをフレーム単位で正確に再現して、いわゆるアニマティクスを逆算して作成しながら、分析を行いました。(実際の研究では、実際の映画のサウンドトラックを引用して、音と編集の関係も分析していますが、今回展示では無音としています)
アニメーションの場合は、最終的な編集後の完成形をまずフレーム単位でイメージし、そこからの逆算で絵コンテを作成するため、ここで分析した映画の編集効果は、絵コンテを描く前に、周到に決定しておくことになるのです。

A班 「ダークナイト」における演出について

研究のねらい
ラスト付近、主人公と敵役が対峙したシーンにおいて、それぞれの思想の違いを表現するためにどのような演出やカット割り、セリフ回しがなされているか研究する。

考察
このシーンでは二つの船の対立と、バッドマンとジョーカーの対立を同じ構造にしている。そして、その後船が二つとも爆発しないことや、逆さづりになったジョーカーを徐々に正位置に回転させていくことによって、二人が対立していることと実は二人が非常に似た存在であることを同時に表現している。

作品名, 監督
『ダークナイト』(2008)
クリストファー・ノーラン 

メンバー
伊藤鉄馬/ラ ディ/池辺凛/武藤萌

B班 シン・ゴジラから考えるカット割りとカメラの関係

研究のねらい
この会議シーンはシンゴジラの本編でもかなりカット数も多く、登場人物も増える重要な要素です。緊迫感ある早いカット割りとカメラ位置の関係性を研究しました。

考察
この研究を通してカット数で魅せる緊張感の演出と、カメラの位置関係は対照的に交わる事がわかった。

作品名, 監督
『シン・ゴジラ』(2016)
庵野秀明

メンバー
奥山優一/加賀美帆/船渡侍之/ヨウ キ

C班  映画「パラサイト」における立体空間上での構図・位置関係の研究

研究のねらい
①立体空間上での背景や人物の位置関係を把握する。
②効果的な表現を構図・カメラワークという観点から分析・考察

考察
①ビデオコンテの後半では、包丁を持った男がメインとなるように、アングルや人物を配置する位置関係が整理されている。
②豪邸というロケーションを活かした人物の動かし方や構図等、あらゆる画面演出が場の雰囲気を物語る要素として絶妙なバランスで作りこまれている

作品名, 監督
『パラサイト』(2019) 
ポン・ジュノ

メンバー
田中颯馬/亀山隆太郎/佐藤美弥子/渡邉未来

D班『シン・ゴジラ』におけるシネマスコープとクローズアップの効果

研究のねらい
シネマスコープにおけるクローズアップはなぜ効果的なのか、没入感、テンポ感、アニメーション的な表現から探る。

考察
クローズアップは「強調」の意味がある。アニメーションにした前後には「音」「遠距離の画面構図」「会話の間」を使い、差別化させている。これにより、主人公の熱意をもクローズアップすることに成功した。

映画名, 監督
『シン・ゴジラ』(2016) 
庵野秀明

メンバー
樋口翔大/鈴木知寿/川瀬愛斗/氏家朱里

E班『Don’t Breath』における緊張感の演出と実験

研究のねらい
息の詰まるような重苦しい緊張感を感じさせる作品だったが緊張感を生み出す演出、音響はどのようなものがあったか

考察
全盲である代わりに異常な聴覚や嗅覚をもつ彼から逃げる姿はまさに「呼吸すらできない」。
→「無音」を感じさせるSEなど(耳鳴りのような音など)で緊迫感、閉鎖感なども煽る。また、セリフがない代わりに表情で恐怖を伝える。

作品名, 監督
『Don't Breath』(2016)
フェデ・アルパレス

メンバー
渡邊なつめ/本多亜海/村上諒

F班『見知らぬ乗客』におけるサスペンス映画の演出

研究のねらい
サスペンス映画における緊迫感の演出・重要なシーンに向けて観客の興奮を誘う演出を探る。

考察
使われた演出の意図がうまく把握できたか(レイアウト、照明、サウンド等)把握した情報を上手く活かして研究に取り組んだか
シーンの後半まで緊張感が保たれたか

作品名, 監督
「見知らぬ乗客」(1951)
アルフレッド・ヒッチコック

メンバー
安藤友梨香/キム ソンハ/浜崎龍平